Diario di Carta-Studio 小さな工房の日記

日々の出来事、作品作り、美術品修復に関することなどを綴ります

古糊の水替え

今年度最後の授業で、毎年行っているのが

「古糊の水替え」です。

 

古糊というのは、大寒のころに作った糊を

甕にいれて、冷暗所で5年以上ねかせたものです。

新糊(作ってすぐの糊)よりも接着力が弱く柔軟な

仕上がりになるため、巻物の裏打ちに使われます。

 

そんな古糊ですが、私の前に教えていた先生が

置き土産として大学にのこしてくれました。

いまのところ、授業で掛軸や巻子本を直す予定はない

のですが、せっかくあるので、大事にしています。

毎年1回水替えをしながら、ねかせているのですが、

大寒のころというのは、年度最後の授業と重なりますので

作業の区切りの良いときは、締めくくりに水替えを行っています。

 

表面のカビを除去してきれいなお水をいれます。

今年のカビは、こんな感じでした。

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黒く見えているのがカビ

 

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カビを取り除いています(2年前の作業写真)

 

毎年カビの様子が違います。

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昨年のカビ

 

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おととしのカビ

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カビを取り除くとこんな感じで糊が出てきます。
(2年前の状態)

 

今年のものはもう少しグレーがかった糊でした。

古糊を使う内容を考えた方がいいのか、

シラバスを作成するときに毎年なやんだりします。

 

 

卒業制作展の案内

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制限なく見られるといいのですが。

学生の頑張りを見てほしいです。