Diario di Carta-Studio 小さな工房の日記

日々の出来事、作品作り、美術品修復に関することなどを綴ります

授業のはなし

今年度は、3学年の授業を担当しています。

2年生の授業は7回だけです。

 

保存修復コースですので、修復を行うために

必要な知識や基礎技術を教えています。

2年生は、基礎の基礎。

紙ってなに?

紙作品ってなんでしょう?

というおはなしから

紙作品修復に欠かせない「裏打ち」という

技術を教えます。

3年生は、修復実習です。

版画の小作品や薄い本など、毎年教材を準備し

一人一作品(または一冊)の修復処置を行います。

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先週の授業では、ドライクリーニングを

行いました。

やわらかい刷毛やクリーニングクロス、

粉消しゴムを

使用して作品の表面に付着した汚れを

除去する処置です。

 私の授業は、紙作品を修復するって

どういうことをするのか

という修復の基本を伝えることを目的と

しています。

専門的になりすぎず、でも簡単になりすぎず、

この処置は、なんのために行い(目的)、

どんな方法で行われるのか。

 

技術は工夫され、学んだことを学んだとおりに

やっている方の方が少ないと思っています。

新しい技術が開発されることも、今までの

方法が改良されることもあります。

目的を間違えなければ、方法は一つだけではない

と伝えています。

 

柔軟な考え方ができるように、私にも

言い聞かせている気がします。

 

4年生は、これまで学んだことをもとに

テーマを一つ選択し実験をしたり、

古典技法を模写したり(表装もします)、

修復処置を行ったり、製本したり。

紙作品にかかわることを選んだ学生がいる

年は、授業を担当します。

毎年一人は選択してくれるので、今のところ

毎年4年生の授業を担当しています。

 

修復ということがどういうものなのか

多くの人に知ってもらえる機会を

いただけたと思い、大変なこともありますが

楽しみながら続けています。

 

本業である修復のお仕事は、ほどほどに

ご依頼をいただいております。

紙作品(版画、デッサン、水彩画など)、

書籍の修復、

製本、

裏打ち、

仮張り板作成

などご興味のある方、相談したいものがある方

いつでもご連絡ください。

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