Diario di Carta-Studio 小さな工房の日記

日々の出来事、作品作り、美術品修復に関することなどを綴ります

「重要文化財の秘密」展(国立近代美術館)

東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密」

を見に行きました。

 

展示されているすべての作品が重要文化財というぜいたくな展覧会です。

しかも、撮影可能な作品が多かったのですが、混雑具合に写真を撮らずに

回りました。

入ってすぐに狩野芳崖の「悲母観音」が展示されていました。これだけでも、

展覧会のぜいたくさを感じました。

そして圧巻だったのは横山大観「生々流転」。

巻物なのですが、今回は、すべて開かれています。

その長さ、約40m

すごい、以外の言葉が出ない私の語彙力のなさを嘆いています。

ところで、この作品の形式は、「画巻」と呼ばれています。

さきほど「巻物」と書きましたが、画巻と巻物に違いはあるのか。

気になったので調べてみました。

 

画巻とは、巻子本の形式となった中国の絵画。日本の絵巻の成立に影響を与えた。

巻物とは、書や絵画を横長に表装し、軸に巻き取る形に仕立てたもの。巻子装、

巻子本、軸物、巻軸、巻文ともいう。

絵巻とは、巻物に表装された絵画。絵画の内容は作ものがたりや説話文学、高僧伝・

社寺縁起・儀式の記録などで、多くは詞書(説明文)が添えられている。

「絵巻」や「絵巻物」は近世になってからの言葉。

(『表具の事典』より引用)

 

巻物は仕立てた形式という理解でいいのかな。

画巻と絵巻は、中国の絵画と日本の絵画の違い?だとすると「生々流転」は

日本の絵画では?でも墨画は中国風という理解でいいのか?

水墨絵巻と表記するところもあるようですので、どちらでもいいのか?

巻物とするのが無難かな。

これはこれで調べたい。言葉が気になるんですよね、最近。

 

日本で最初の洋画家と呼ばれる高橋由一の「鮭」も展示されています。

鮭です。本当に鮭です。リアルです。

岸田劉生の「道路と土手と塀(切通之写生)」は以前学生が模写をしていて、

これが本物かとじっくりみました。 

「麗子微笑」もありました。

岸田劉生の作品というとこれをすぐに思い浮かべます。娘さんを描いている

んですね。

しかも、この作品は、ダヴィンチの「モナ・リザ」にヒントを得た作品らしいです。

 

重要文化財には当然彫刻もあります。

高村光雲「老猿」はシカゴ万博に出品された作品。凛々しい猿です。

老猿のようには見えませんが、ベテランの猿感はありました。

重要文化財といえど知らない作品ばかりの中で、鈴木長吉「十二の鷹」が気にいり、

思わず写真も撮ってしまいました。これは金工という分野の作品になるようです。

今は石川に移転した国立工芸館の所蔵作品です。

 



同時にコレクション展・修復展も見られます。

5月14日まで開催中です。