Diario di Carta-Studio 小さな工房の日記

日々の出来事、作品作り、美術品修復に関することなどを綴ります

作ってみました、旋風葉②

先日に続き、旋風葉について。

 

前回、旋風葉は、風が吹くと本紙が吹きあがる様子から

名付けられたとお話ししたのですが、今日お話しするのは

吹きあがらない旋風葉。

旋風葉の改良と考えられている「固定形旋風葉」。

この呼び方は藤井隆氏の『日本古典書誌学総説』で紹介され

ています。

旋風用の背の部分を全部糊付けして固定させたものが

固定形旋風葉です。

装幀サンプルなのだから、もっとわかりやすく

作ればよかったのですが、背の部分と表裏表紙は

繋がっていません。

背が表紙と接着しています。

前回お話しした旋風葉は背に糊を塗っていません。

 

写真で見てわかるように固定形旋風葉は、見た目が袋とじの

ように見えます。

そのため、旋風葉ではないと考える研究者もいらっしゃるし、

もともと、背に糊がついていたものがはずれたのでは、と

考える方もいるようです。

旋風葉の数があまりなく、原装で残っているものが少ない為、

確認ができないようです。

私は残念ながら現物は見たことがありません。

今後調査などする機会を作れたら、と考え中です。

 

ちなみに、この固定形旋風葉から粘葉装(でっちょうそう)が

発生したとも言われています。

 

これで、一つ気になっていた装幀のことを調べ、サンプルを

作ることができました。

ひとまず旋風葉のことは終わりにします。

 

 

carta-studio.hatenablog.com